Kindle出版の意外なハードル【費用編】

●Kindle出版の意外なハードル【費用編】

誰でも作家になれる電子書籍の王道、Kindleなんだけど。
いざやってみると、技術面でも費用面でも意外にハードルが高かった。
今回は【費用編】です。

https://kdp.amazon.co.jp/help

▼ ロイヤリティの選択肢

Kindleでは印税のことをロイヤリティと呼ぶ。まあマンマ英語ですよね。
このロイヤリティ、70％と35％の二者選択しかない。
どっちかだ。もちろん誰だって、もらえる印税は高い方がいいから、
70％を選択したい。でも、70％を選ぶには色々な条件が課せられる。

※70％の条件売値
まず、本の売値を日本円で1250円以下にしなければならない。
だから、売値を2000円にして35％のロイヤリティ（700円）をもらうより、
1250円にして70％のロイヤリティ（875円）をもらう方が、
読者も作家も嬉しい状況になる。

※70％の条件独占販売
同じ本を他のサイトや書店で販売してはならない。
Kindle独占で販売してもらうこと。
まあ、これは紙の本を出さなければ問題はないと思うが。
（具体的には「KDPセレクト」というプログラムに登録すること）

▼ 振り込み手数料

費用面で意外に盲点だったのは、ロイヤリティ振り込みの手数料だった。
アマゾンからは月に一度のロイヤリティの振り込みがある。
これは、アメリカからの振り込み。
振り込み自体は円建てなので、
本が円で売れれば（日本で売れれば）為替損益は出ない。んだけど。

なんせ外国からの入金なんで、日本の主要銀行を送金先に指定すると、
「円為替取扱手数料」と「被仕向送金手数料」という名前の振り込み手数料が
入金額から差っ引かれる。これがバカにならないのだ。

銀行によってバラつきがあるけど、具体的には、円為替取扱手数料が、
入金額の1/20％もしくは、最低2500円。被仕向送金手数料が、1500円だ。
最低でも月1回の入金で、計4000円の手数料がかかる。
しかも、本が思ったより売れず、入金額が手数料4000円を下回る場合、
なんと預金がマイナスになる。

仮に、名も無き小説家志望の若き天才が、Kindleを使って本を出版したとする。
いっぱしの作家のように1000円なんて堂々とした価格を付けられないから、
周りの状況を見渡して恐る恐る、それでも300円とする。

KDPセレクトに加入して、70％のロイヤリティを貰うと、一冊売れて210円。
月に10冊売れて2100円。これでも銀行手数料を引くと赤字。
月に20冊売れてやっと200円の利益。てな感じ。
だからほとんどの素人作家は利益になってないと思う。
本が出版できた、という満足感はあるだろうけど。

※受取銀行が三井住友銀行の場合の手数料

でも、この銀行手数料、まあまあの解決策があった。新生銀行が安い。
しかもかなり安かった。少なくても「被仕向送金手数料」の1500円はタダだ。
新生銀行の「円為替取扱手数料」は、
まだ僕は体験していないので実際は不明だけど、
口座開設時のお姉さんに聞いたら、
なんと「円為替取扱手数料」もタダだと言っていたが。本当かな？

ネットで調べると、新生銀行の「円為替取扱手数料」は、
主要銀行の半額という人もいるし、一律2500円だったという人もいるから、
実際の所は、体験してみないと分からないと思う。
支店数が少ない新生銀行だけど、
セブン銀行、ローソン、ファミマATMに24時間無料で対応しているので便利。

▼ アメリカへの税金

このアメリカへの税金対応もかなり面倒。なんの書類も提出しないと、
ロイヤリティに対する源泉徴収金額を、
アメリカ内国歳入庁に支払わなくてはならなくなる。
しかも税率は30％。
発生したロイヤリティの中からアマゾンが勝手に徴収していく。

アメリカへの源泉徴収を免れるためには、
日本で「税識別番号」を発行してもらうか、
アメリカ内国歳入庁から「TIN（Taxpayer ID Number）」
を発行してもらい、
アマゾンに源泉徴収率0％を認証してもらう必要がある。
超！面倒。もちろん、ロイヤリティは立派な収入なので、
最終的には日本で確定申告しなければならないのだけれど。